役員報酬の基本的知識(ベンチャー企業・中小零細企業編)

インターネットを含む、様々なところで経営者に誤解を招きかねない役員報酬の説明が多いと言えます。

良く聞かれることとして、以下のようなことが挙げられます。

  • 一度決めたら役員報酬は途中で変更できない
  • 役員に賞与を出すことはできない

本当にそうなのでしょうか? 正確には違うと言えます。

正しく表現すると、「基本的に税法上認めない」ということであって、「絶対に経営上できない」ということではありません。実際、「期中での役員報酬の変更」や「役員賞与の支給」をしている会社は存在しています。

もちろん、「基本的に損金(法人税法第22条第3項において定められた会計上の費用・経費のことを法人税法上は損金と呼ぶ)として扱うことはできない」ことは事実ですので、以下、税法の観点から順番に説明していきます。

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役員報酬の損金算入の条件について

会社法における「役員」の定義ですが「役員」とは、取締役、監査役、会計参与(税理士・公認会計士・税理士法人・監査法人がなれる)のことを指します。

役員への支給は、毎月の給与でもある「役員報酬」、業績に応じて支給される「役員賞与」、退職時の「役員退職金」に大別されます。今回は経営者をはじめとする取締役にスポットを当て、「役員賞与の支給」についてご説明します。

利益がたくさん出る場合、会社として税額を抑えたいとの考えから、「役員報酬」を多くして利益を減らすというインセンティブも働きます。しかし、税務署としては、取れる税金が減るため、どうしてもコントロールする必要が生じます。

そこで法人税法により、「役員報酬」を損金算入(税務上の費用)できる要件を以下の3つに限定しているわけです。

  1. 定期同額給与(1年間、毎月同じ時期に同じ金額を支給する場合)
  2. 事前確定届出給与(事前に届け出ている場合)
  3. 利益連動給与(有価証券報告書に記載されている場合)
※「利益連動給与」ですが、「利益等に連動して給与を払う」というものです。ただし、有価証券報告書に記載されていること他、同族会社(上位3株主の持株比率が50%超)でないことも要件とされています。日本の会社は99%が中小企業ですから、対象となる会社も絞られます。そのため、ベンチャー企業や中小零細企業は行うことが出来ないと言えます。
事前確定届出給与は、オーナー社長に認められた有利な制度ともいえますので、再確認しておきましょう。事前に税務署へ届出を提出しておくことで、「役員賞与」も経費として損金計上することが可能です。本来、「役員賞与」は株主配当と同様に利益処分項目です。この制度は事前に届け出るため、変更することはできません。また、役員賞与に対して所得税や住民税は課税されます。届け出るタイミングとしては、多くの事例を見る限り、株主総会後1カ月以内に実施するケースが多く、詳細は税理士法人ハンズオンに、是非ご相談ください。

役員報酬の定期同額給与について

役員報酬の定期同額給与について

定期同額給与は、年間を通して同じ時期に同じ金額を払う場合、損金算入を認めるということです。実際の運用としては、変更する場合、新しい事業年度に入って3カ月以内に変更するのが基本ルールです。

株主総会後に改定といったケースが多いと言え、一般的に多くの経営者が定期同額給与で支給しています。

期の途中で変更した場合、損金としては認められない

例えば、毎月60万の定期同額給与で、その月の利益が出たからといって、80万に変更した場合、増やした分の20万円は損金として認められません。

一方、利益が出ないからといって減らした場合も損金として認められません。

例えば、3月決算の会社が4月から7月まで60万円払っていたけど、業績が悪くなったから8月から40万円に減らしたとします。この場合、4月から7月に多く支払った20万円×4か月分の80万円は、損金として認められません。

定期同額給与変更の特例

不透明な時代で、税法上で原則1年間、「役員報酬」の金額が固定されるのは経営者にとって悩ましい制度といわざるを得ないでしょう。

しかし、何事においても必ず「例外」があるものです。

以下の2つの場合には、特例として途中からの定期同額給与変更が認められることになっています。

  • 職制上の地位の変更
  • 経営状況の著しい悪化

「職制上の地位の変更」とは、職務の重要な変更や、やむを得ない事情を想定しています。分かりやすくいえば、経営者が病気で倒れてしまって、急遽、ご子息が2代目となって役員報酬を上げざるを得ない場合や、合併などで役員の仕事が大幅に変わったような場合です。

「経営状況の著しい悪化」ですが、こちらは株主の関係で経営責任を取るとか、金融機関との話し合いでリスケジュール(返済計画の見直し)をする、取引先の信用を失って、経営改善が必要になり役員報酬を減額するなどを対象にしています。

売上が少し下がったとか、一時的に資金繰りが厳しいなどではありませんので、注意してください。

最後に

自分(経営者)の役員報酬をいくらにするべきなのか、役員報酬をいくらにすれば、税負担がもっとも軽くなるのか、こういった疑問は「役員報酬」を考えるとき、多くの経営者が悩むテーマのひとつであり、良くご相談いただきます。

特に、ベンチャー企業や中小零細企業では、参考になる基準が少なく迷う方も多いといえます。

ベンチャー企業や中小零細企業では、「役員報酬」の金額をどのように決めるのかという問題は複雑です。しかし、「知っている場合と知らない場合では、結果は大きく変わること」も真実と言えます。

税理士を契約していない経営者の方は、是非、税理士法人ハンズオンにお任せください。

また、すでに税理士と顧問契約を行っている場合は、常日頃から、顧問税理士と率直なコミュニケーションを増やしてゆくことはいかがでしょうか。

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