経営者の方や、経理担当者の方で「税理士事務所」「会計事務所」「税理士法人」の違いを説明できる方はいらっしゃるでしょうか。
良く、看板やウェブサイトで見かけるけど違いは分からないと言う方が大半です。
そのため、税理士事務所、会計事務所、税理士法人の違いを分かりやすく説明していきます。
税理士事務所と会計事務所の違いとは?
税理士事務所と会計事務所の違いですが、正式名称か俗称の違いとなり、税理士が行う独占業務(決算申告などの税務代理)は違いがありません。
※独占業務とは、特定の資格や免許を持っている人だけが行える業務を言います。
税理士事務所 | 正式名称 |
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会計事務所 | 俗称(屋号のようなもの) |
以上のような違いとなり、両方とも税理士は「個人事業主」となり、従業員がいる場合は「所長」と呼ばれている場合が多いです。
「税理士」と「公認会計士」の違いも知っておこう
両方とも国家資格である「税理士」と「公認会計士」の違いとしては、主に「独占業務」の範囲の違いとなります。
税理士の独占業務 | ・税務代理 ・税務書類の作成 ・税務相談 等 |
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公認会計士の独占業務 | ・監査証明業務 |
※監査証明業務は、企業の作成した財務書類が会計基準に合っているか調べる(監査)ことです。
シンプルに説明すると以上のような形となります。
ただ、少しややこしくなりますが、公認会計士の資格を保有(合格)している場合は、税理士資格も同時に保有(取得)していることになります。(公認会計士の試験科目にも税法の試験あるためです。)
そのため、税理士業務を行う公認会計士は名刺やウェブサイトのプロフィールなどに「税理士・公認会計士」という役職が記載されているはずです。
また、公認会計士の資格を保有しながら、税理士の仕事を行っている場合「●●会計事務所」の俗称がついている場合も多いです。
会計事務所の所長が公認会計士とは一概に言えない
「●●会計事務所」と名前を付ける場合、すべての会計事務所の所長が公認会計士の資格を持っているわけではないので、注意しましょう。
また、税理士法の第40条の2項では「税理士が設けなければならない事務所は、税理士事務所と称する。」と記載があるので、一般的には「税理士事務所」が多いと言えます。
税理士法人と税理士事務所の違いとは?
税理士事務所と会計事務所の違いは、ほぼ同じであることを上記で説明してきましたが、所税理士法人と税理士事務所の違いは何でしょうか。
まずは、以下の比較表を確認してください。
税理士法人 | 税理士事務所 | |
独占業務 | ・税務代理 ・税務書類の作成 ・税務相談 等 | ・税務代理 ・税務書類の作成 ・税務相談 等 |
支店の出店 (従たる事務所) | 出店が可能 | できない |
税理士の最低人数 | 2名以上 (代表社員) | 1名以上 |
運営形態 | 特別法人 | 個人事業主 |
代表の死亡時 | 事業継続が可能 | 不可 |
以上のような違いがあります。
基本的には従業員数が違い、税理士事務所の場合は開業している税理士が顧問先を受け持ち、その他のスタッフはお手伝いと言うイメージの事務所が多いです。
また、税理士事務所を開業してから税理士法人へ変更する場合もあります。
代表者が死亡時のデメリット
税理士事務所を利用する場合の一番のデメリットとしては、代表者が死亡した場合は事業を引き継ぐことが出来ないため、他の税理士に再度依頼することが必要です。
しかし、よほど高齢の税理士でなければそこまで心配することではないと言えます。
また、大手企業でも外注する場合に「個人事業主やフリーランス」を利用するケースも増えています。税理士も同様と考えて良いでしょう。
しかし昨今、税理士の高齢化が進んでおり平均年齢60歳と言われている業界です。そのため、代表者の年齢はチェックしておきましょう。税理士の年齢についての詳細は「若手税理士って何歳までを言うの?平均年齢60歳以上の現実!」を確認してください。
税理士法人は全国的に数が少ない
日本税理士連合会が出している、2020年7月末時点の税理士登録者数、税理士法人届け出数は以下の通りです。
税理士登録者数 | 78,714名 |
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税理士法人届出数 | 4,243法人 |
(※税理士登録者数は基本的には税理士として仕事を行っている人の数を指しています。)
税理士登録者数に対して、税理士法人届出数は少なく、全国で4,243の税理士法人しかありません。そのため、正確には数が分かりませんが、税理士事務所、会計事務所の方が多いと言えます。
最後に:どの事務所に依頼すべきなのか
税理士事務所、会計事務所、税理士法人の違いについて説明してきましたが、
- 「税理士事務所、会計事務所」に依頼すべきか
- 「税理士法人」に依頼すべきか
等、一概にどちらが良いとは言えません。
理由としては、どちらとも独占業務は行えることや、「税理士法人」でも税理士2名のみで行っている場合もあり、規模間もバラバラのためです。
そのため、
- 事務所の事業規模
- サービスの内容
- 事業に対する専門性
- サービスに対する料金形態
- 対応する税理士やスタッフとの相性
などを考えて、選択することが良いと言えます。
弊社「税理士法人ハンズオン」では、「税理士法人」としてサービスを提供させていただいておりますが、、私は税理士法人を設立する前は「鵜月健彦税理士事務所」として開業しておりました。
その際に、上場企業のお手伝いや比較的規模の大きな法人も担当させていただいておりました。
そのため、「税理士事務所だから個人を相手にしている」「税理士法人だから法人をメインにしている」などとは限りません。
是非、ご自身に合った税理士事務所、会計事務所、税理士法人を見つけてみてください。
弊社は外部の顧問税理士という立場を超えて、お客様の会社の一員として「共に成功を目指す仲間」でありたいと考えています。